3学期の後半、教科書の新出内容が終わったあとの数週間は、設計しないと消化試合になります。ワークの残りを埋める、プリントを配る、なんとなく復習する——生徒の側も「もう成績は決まった」モードです。
この期間の本当の仕事は、1年間の伸びを生徒自身に見せることです。4月にはI am 13.しか言えなかった生徒が、今は過去の思い出も予定も語れる。それを実感させて次の学年に渡すのが学年末の授業です。総復習→学年末テスト→春休みの3点で設計します。
総復習は「文法の一覧表」ではなく「場面の再演」で
1年分の文法を一覧表で振り返っても、生徒の記憶には残りません。おすすめは、1つの場面に1年分の文法を混ぜて使わせる方法です。
たとえば中1なら「新入生に学校を紹介する」場面。自己紹介(be動詞)、友だち紹介(三単現)、今の様子(進行形)、1年の思い出(過去形)——1つのプロジェクトの中で、1年分が全部必然になります。当サイトの中1学年末テストが「4月に来る留学生の歓迎プロジェクト」を一本のストーリーにしているのは、この考え方です。
授業では、各文法のコミュニケーション活動から3〜4本を選んで週替わりで回すのが手軽です。生徒には「復習」ではなく「1年分のゲーム大会」に見えるのがこの方法の強みで、しかも誤りが残っている文法はここで表面化します。表面化した誤りは、各文法の教え方ガイドにある定着ドリルの「まちがい診療所」で個別に回収します。
学年末テストは「総まとめ型」で作る
3学期の新出文法は教科書によって差が大きいため(単元マップで確認できます)、学年末テストは特定単元のテストではなく「1年間の総まとめ型」で作るのが安全です。設計のポイントは3つ。
- 場面の中で使い分けを問う——「be動詞の問題」「過去形の問題」と分けず、1つのストーリーの中で時制や主語に応じて選ばせる(1年の使い分けこそ学年の到達点)
- 観点比率は年間の階段の最終値に——中1なら知識・技能55:思考・判断・表現45あたりまで寄せ、次学年の入口につなげる
- 新出の差し込みはカスタマイズで——教科書固有の3学期新出は、大問1つ差し替えで対応
当サイトの学年末テスト(中1・中2・中3、各基礎・標準・発展)はこの設計で作ってあり、教師用のカスタマイズガイドつきです。作り方の考え方自体は中1最初の定期テストの作り方で解説した配点・評価規準の延長線上にあります。
最後の授業——「4月の自分」を見せる
学年末の最後の授業でおすすめなのが、4月の成果物との対面です。授業開きで書かせた自己紹介3文(授業開きガイドの最初の宿題)や、帯活動の記録シート1枚目を返します。
3分クイックライトを続けたクラスなら、4月の語数と3月の語数がグラフで並びます。「先生が伸びたと言う」のではなく「数字と実物が伸びたと言う」——この体験が、次の学年の英語学習の燃料になります。記録が残る帯活動の設計は帯活動ネタ20選を参照してください。
春休みの仕込み——来年度がいちばん楽になる2週間
学年末の仕上げは、教師自身の準備です。春休みは唯一「授業に追われずに授業を作れる」期間で、ここで仕込むほど来年度が楽になります。優先順位は——
- 新学期最初の2週間分だけ完成品にする(授業開き+最初の単元。授業開きガイドがそのまま台本になります)
- 帯活動の年間ローテーションを決める(学期ごとの技能切り替えまで決めておくと迷いが消えます)
- 教材は資産として整理する(今年作ったプリントを「来年も使う棚」へ。ゼロから作り直さない仕組みはお悩み相談の働き方カテゴリでも扱っています)
新年度の各単元の授業構成は、文法の教え方ガイド(導入→定着→応用の教材一式)を起点にすると、教材研究の時間を大きく短縮できます。
よくある質問
総復習の時間が2〜3時間しか取れません。
コミュニケーション活動の週替わりはあきらめ、「1場面プロジェクト」1本に絞ってください。中1なら新入生への学校紹介、中2なら1年をふり返る思い出アルバム、中3なら後輩へのメッセージ——2時間で作って1時間で発表、が最小構成です。
成績処理後の授業で、生徒のやる気が持ちません。
評価と切り離された時間こそ、点数のつかない楽しい英語(ゲーム大会・クイズ・映画の一場面)の出番です。1年間がんばった帯活動の「殿堂入り回」を生徒投票で選んで再演するのも、締めくくりとして盛り上がります。
中3の学年末はどうすればいいですか?
中3は入試と卒業が重なる特殊な学期です。入試前は高校入試直前の英語指導の設計をそのまま、入試後の登校日は「高校英語の予告編」(仮定法の先にある世界・洋楽や映画の1フレーズ)が定番です。