本文の内容理解の問いが、「本文から答えを抜き出すだけ」で終わっていないでしょうか。抜き出しだけの発問では、読解は「答え探しゲーム」になり、思考も自己表現も生まれません。熟練の先生は、1つの本文に対して問いを3つの層(事実→推論→自分事)で設計しています。この記事は、その3層発問の作り方を、どの教科書のどの本文にも応用できる形で解説します。
この方法で解決できる悩み
- 内容理解の問いが抜き出し問題ばかりで、深く読めていない
- 発問を思いつきで出していて、授業ごとに質がばらつく
- 「本文について意見を書く」活動が唐突で、生徒が書けない
3層発問とは
同じ本文に、難易度と思考の質が異なる3種類の問いを用意します。
| 層 | 問いの性質 | 答えのありか |
|---|---|---|
| ①事実発問 | 本文に書いてあることを問う | 本文の中(1か所) |
| ②推論発問 | 本文の情報をつないで考える | 本文+読み手の推論 |
| ③自分事発問 | 自分ならどうか・どう思うか | 読み手自身の中 |
①で全員に読む足場を作り、②で思考を促し、③で自分の言葉を引き出す。 この順に進むと、読みの浅い生徒も置き去りにせず、深い読みと自己表現まで到達できます。
各層の作り方(例: 環境問題がテーマの本文)
①事実発問(Fact)— 全員が答えられる足場
本文に明示された情報を問います。抜き出しや Yes/No で答えられるもの。
- What does the writer do every morning?
- When did the problem start?
ねらいは正解させることではなく、全員に本文の該当箇所を読ませること。ここでつまずく生徒には、該当段落を指し示す支援をします。
②推論発問(Inference)— 情報をつなぐ
複数の情報をつないだり、書かれていない意図を読んだりする問いです。
- Why did the writer change his mind?(理由が直接書かれていない場合)
- How did the writer feel at the end?
「本文のどこからそう考えた?」を必ずセットで問うのがコツです。根拠を本文に戻って探させることで、推論が当てずっぽうになりません。
③自分事発問(Personal)— 自分の言葉へ
本文のテーマを自分に引きつけて考えさせます。
- What can you do about this problem?
- Do you agree with the writer? Why?
これが③まで来ると、都道府県立入試の「本文についてあなたの考えを書きなさい」型の設問そのものになります。毎時間③を1問置くだけで、意見を書く力が日常的に育ちます。
授業での使い方
3層を一度に配るのではなく、読みの段階に合わせて出します。
- 1回目の読み(ざっと)→ ①事実発問で大枠をつかむ
- 2回目の読み(じっくり)→ ②推論発問で深める
- まとめ → ③自分事発問をペアで話す→1文書く
本文の授業シリーズ
この3層発問は、オーラル・イントロダクション(読む前の内容導入)とリテリング(読んだ後の再生)の間に置くと効果的です。③自分事発問で書いた1文は、汎用「本文パート攻略シート・中3版」の意見欄にそのまま接続できます。本シリーズを通して、本文の授業が「訳読」から「読んで・考えて・語る」へと変わります。